15. Heaven 17 – The Luxury Gap

2020年5月8日

heaven17band
「この時代のニューウェーブ(エレクトロ)バンドはハットを被るか被らないかで相当違う」

Newwave/Techno pop編も数少ないUSバンドの紹介もあっさり終わりついにUK編です。やっと辿りついたNewwave/Techno popのUK編1発目は「Heaven 17」です。個人的な好みとしてはパンクのフィルターが通ったNewwaveやクラフトワーク影響下のテクノポップで、ソウルっぽかったりファンキーなフレーズが入るとどうしても毛嫌いしていましたが「Heaven 17」にはそれ以上に魅力的なセンスがありその世界観にどっぷり。ジャンルを細かく言うよりも「Heaven 17」そのものの音(曲)としてとらえた方が分かりやすく他のバンドには感じた事のない良さが見つかると思います。

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Heaven 17 – The Luxury Gap (1983 Virgin)

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「ホントこのジャケットセンス狂ってる、このメンバーのどいつがあんな素晴らしい歌声を出せるって言うの?」

イギリスが産んだ素晴らしきインダストリアル・エレクトロポップユニット「Human League」。初期のHuman Leagueは完全にドイツの空気をまとったダークサイエンティスト(1stアルバムの出だしなんか空気感が完全にデュッセルドルフ)。そのHuman Leagueの二人が脱退して新たに組んだユニットがこの「Heaven 17」。 Human Leagueで2枚のアルバムを発表した後に方向性を見失って完全に行き詰った事が脱退の原因だったみたいです。

そして今回のブログで紹介するのははいきなり2ndアルバムなんですが、個人的には1枚目よりも絶対こっちを推していきたいです。1枚目の「Penthouse And Pavement」も良いんです。高層ビルが立ち並ぶ街のカフェテラスでエスプレッソを一杯、というジャケ通りな感じはありますね。紳士的で色気もある、ですがソウルやファンクの独自の解釈が行き過ぎてなかなか理解できず繰り返し聴く事にはなりませんでした。

一方この2ndアルバムは飛び道具的な音色はまだありますが、前作よりもボーカルが前面に出ていて更にメロディアスに歌いあげています。ボーカルと曲の対比は「6:4」。そうなると色気のあるボーカルが際立ち、奥行きが出て一層ドラマチックな曲になり頭に響きます。この黄金比こそが「Heaven 17」の一番の武器だと思います。そして何といってもこのアルバムの目玉は8曲目の「We Live So Fast」。スタートからゴールまで高級車に乗って街をめぐるような一定のリズム、派手すぎず質素すぎず、流れるようなシンセの音色、サビのコーラスの掛け合いがこの曲の完成度を最高値まで引き上げています。

正直この時代のエレクトロポップ周辺のバンドはとっつきにくい事もありますが1曲素晴らしい曲に出会うと抜け出せない不思議な魅力があります。まずは「We Live So Fast」を聴いてもらえればこの時代のエレクトロポップを見直すきっかけになるかも。

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