20. Yazoo – Upstair’s At Eric’s

2020年7月29日

yazooband

前回このブログで紹介した「Depeche Mode」のヴィンス・クラークが1stアルバム「Speak & Spell」をリリースした後に脱退、同年1981年に歌手のアリソン・モイエと一緒にシンセポップデュオを結成。それがこの「Yazoo」です。


当時21歳のヴィンス・クラークはデペッシュ・モードで作曲していましたが2曲だけデペッシュ・モードに提供していない曲がありました。その中の1曲がYazooのデビューシングルにして大ヒットした曲「Only You」です。なぜヴィンスがデペッシュモードでこの曲を発表しなかったのか、それはこの曲が出来た時にこの曲にはソウルフルな歌声が合うと直感で感じたそうです。しかし彼が育った街「バジルドン」でのボーカル探しはかなり難航。デペッシュモードがドラムマシンを使用した理由もその街にドラマーが1人しかいなかった為だとインタビューでヴィンスは語っています。

前回のDepeche Modeの記事

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Yazoo – Upstairs At Eric’s (1982 Mute)

yazooupstairs

アリソン・モイエはヴィンスの親友やいろいろなメンバーと15歳の時からパンクバンドを組んでそのバンドで歌っていました。その後ブルースバンドでもマイクを取り、そこでヴィンスがモイエに目をつけました。ヴィンスは「Only You」のデモをモイエに聴かせ、ヴィンスの家のキッチンでこの歌のボーカルデモを録音しました。

順調にシングルをリリース、やっとこのアルバムを録音する事になった時、二人の関係にはすでに亀裂が入っていました。どこかのインタビューで、お互いのセンスに飽きてしまっていて録音は別々に行われたと見た事がありますがそれでこのクオリティですか・・・。エレクトロポップアルバムの中でもトップの位置に立ち続けるこのアルバム「Upstairs At Eric’s」。このアルバムのタイトルはヴィンスに天才と言わしめたこのアルバムのプロデューサー「エリック・ラドクリフ」の名前にちなんで付けられました。

このアルバムの1曲目、シングルにもなった代表曲「Don’t Go」を聴くだけでもデペッシュモードと比べる音楽でないという事は直感で分かりました。一つ一つを聴くとポップな電子音ですが奥行きと細かなリバーブが儚さと陰りを感じさせます。何より本当に必要だったのはアリソン・モイエの歌声だったんだなと心から伝わる瞬間が多々ありました。デペッシュモードのように淡々と風車も揺れないようなテンションで歌うボーカルが電子音楽に一番合うものだと勝手に思っていましたが「Midnight」や「Only You」を聴いてここまで歌い上げるソウルフルな歌声が電子音とここまで共鳴するとは思ってもいませんでした。
それを感じたのもこの二人のセンスと相性があったからここまでのアルバムが出来たのだと思います。ツアー、2ndアルバム、と関係は悪化する一方で解散。その後再結成をしますがリリースされた音源は過去の音源のリミックス音源止まりでした。

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