21. 【本】TECHNO POP

DISC GUIDE SERIES 「TECHNO POP」 (2004 シンコーミュージック)

technopopbook
「一家に一冊、辞典よりも料理本よりも家計簿よりも大事な一冊」

ご存知、シンコーミュージックから出版されている「ディスク・ガイド・シリーズ」。シリーズにして現時点で40種類ものディスクガイドが発売されています。読んだ人は分かると思いますが国別・ジャンル別・年代別等、とても分かりやすく編集されている事と有名どころからマイナーな部分まで幅広くカバー。そのマイナー具合もかなり丁度良く、どのディスクガイドよりも愛読させてもらっています。そして今回はシンコーミュージックのディスクガイドシリーズの中でも一番読む頻度が高い「TECHNO POP」を紹介します。

なんと言ってもまずこのシリーズは表紙に並ぶ数々の音源のジャケットですね。居酒屋のメニューのようにこの表紙に何のジャケットが並んでいるかで中身や記事の信頼度を判定する人も多いのではないでしょうか。そしてその表紙ですが表はYMO、クラフトワーク、デペッシュモードから始まりテクノポップを築いた大御所ユニットがズラリ、左下にギョロリと光る眼の持ち主は当然Residents。
そして特筆すべきは裏表紙です。一見、B-2 UNIT(坂本龍一のソロプロジェクト)やシナロケ、ジューシィ・フルーツ等日本のジャケットが目を引きますがAndreas Dorau、PyrolatarのドイツAta Tak勢から出るオーラの凄さ・・・。単純ですが好きなジャケットが本にのってるだけで心が持ってかれるというか買っちゃいますよね・・・。

スポンサーリンク

中身の方は日本から始まりテクノの聖地ドイツ、アメリカ、イギリス、世界各国のテクノポップを掲載。かなり幅広くフォローされているので一つ一つの国の中身は薄いかなと思いきやテクノポップだけではなくNewwave~Punkまでテクノをかすっているバンドはほぼ紹介されています(日本だと80’sアイドルページ「テクノ・ポップ歌謡」なんて特集もあり)。なのでどの角度からテクノの扉を叩いた人にもオススメできるガイド本となっています。あとはお家芸とも言えるKraftwerk・Devoの特集ですがもちろんあります。

私が特に楽しめたページはサブカル雑誌やマンガの特集です。ここはやっぱり日本の文化だな~と思います、海外のテクノ本じゃ絶対こんなページないですもんね。そしてやっぱり出てきた名前は「江口寿史」と「鴨川つばめ」。個人的にもこの二人ははずせないというか特に江口氏の「GO AHEAD!!」は自分の中でも表紙含め最高かと思います(もちろん「すすめパイレーツ」も素晴らしいです)。

「このジャケットの素晴らしさはレコード(テクノ)好きから来ていると思う」

そして2003年のクラフトワークのインタビューで知らない事が多々あったので面白かったです。
「1991年、1998年のツアーの機材の総重量は6トン以上になった」
「1970年代後半~1980年前半にYMOのメンバーに日本のクラブを連れていってもらっていた」
「日常生活の中に背景がないから「ヤシの木」や「ビーチ」についての音楽は作れない」

このシンコーミュージックガイドシリーズは特定のジャンルを新しく聴きたいという方への入門編としてはもちろんの事、結構深くまで掘った7インチも紹介されている事から聴きこんだ方にも新しい発見があるガイド本だと思います。

スポンサーリンク